第43回セーリングヨット研究会議事録


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1.日 時:2012年 10月 27日(土)

        13:00〜18:00 研究会
        18:00〜  懇親会


2.場 所:

        研究会 - 東京大学戸田寮
        懇親会 - 同上


3.出席者:(敬称略,順不同)

久保田 秀明,林 賢之輔,国枝 佳明,大内 一之,長尾 専一, 寺尾 裕,今北 文夫,谷 信男,沢地 繁,前田 輝夫, 大野 康一郎,小暮 欣也,市川 昌幸,二瓶 泰範,服部 孝史, 横井 達郎,茂木 雅洋,高橋 太郎,木下 健,楳田 寿雄, 矢島 博,添畑 薫,藤井 茂,東野 伸一郎,松井 亨介, 増山 豊,小林 寛,Paatrick Utley(オブザーバ),木下 昌之(オブザーバ),木下 真実(オブザーバ)
計30名

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4.会員近況報告

今回は木下先生のお世話で、東京大学戸田寮で開催させて頂きました。木下先生お世話頂きありがとうございます。 また,これまで約20年の長きにわたって座長を務めてこられた増山先生ですが,現役引退を機に座長を 小林さんにバトンタッチされることになりました.
出席人数は30名でした.


5. 議事
(1)これからヨットを始める人へ            増山 豊(金沢工業大学)      

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 本稿は船舶工学を学んでいる人で、セーリングヨットの研究に取り組んでみたいという人のためのガイドとなることを目的としている。セーリングヨットは船であるが、通常の動力船とはかなり様相が異なり、むしろ飛行機に近いと考えた方がよい。このような船の性能解析を行う上で必要な知識と解析の方法、これまでに明らかになっている点とまだ未解決の問題などについて概要を述べた。まず定常帆走性能を推定するために4つの釣り合いを考える必要があり、この4元連立方程式を解くための手段がVPP(Velocity Prediction Program)であることを述べた。次いで、このVPPを計算するために必要な船体抵抗やセール流体力の求め方について、実験的な方法や数値計算による方法について説明した上で、具体的な計算方法を示した。次に、舵を切った後に船体がどのように運動するのかといった操縦運動について考え、運動方程式について述べるとともに、タッキングシミュレーションを行った結果と実測データとの比較を示した。最後に、現在の世界のヨット研究の現状について触れ、近年の研究の動向と、まだ未解決の問題などについて述べ、今後も我が国からの研究が発信されていくことを期待したいと締めくくった。




(2)帆船の訓練効果について−資質訓練の効果−       国枝佳明(航海訓練所)

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 帆船による訓練教育の効果を数値的に示すために、EQ(心の知能指数)と呼ばれる手法を導入して評価を行ってみた。EQは、自己認知力、共感力、セルフコントロール能力など6種類の資質の変化を見ようとする手法である。具体的には帆船訓練の開始前と終了後にEQベースチェックシートを用いて質問し、前後の変化をレーダーチャートで表すことによって、訓練の効果をビジュアルに示すことができる。これによって訓練の効果が明らかになるとともに、内容ややり方の改善すべき点などを把握することができるようになった。今後、海洋訓練に特化した独自の検査方法を確立していきたい。



(3)「ウインドチャレンジャー計画」実現に向けて      大内一之(東京大学)

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 「ウインドチャレンジャー計画」では、カーボンファイバー製の硬翼帆を複数枚貨物船に取り付けて風力推進を利用し、船舶の省エネと低炭素化を実現しようとしている。帆船としての性能はすでに明らかとなっているので、これを太平洋航路に就航させた場合の採算性についてシミュレーションを行った。DW18万トンのケープサイズバルカーに9枚の硬翼帆を取り付けた場合を想定し、ウエザーチャートをもとに燃料消費量を計算した。その結果、年間約4億円のコスト削減が可能であり、硬翼帆システム取り付けの初期投資を5年程度で回収できることが分かった。



(4)ヨット影虎 太平洋一周航海報告            長尾専一

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 2年半前の第39回セーリングヨット研究会において計画をお話しした、太平洋一周航海の概要について述べた。2010年7月から2012年7月まで、約2年間をかけてアメリカ、ハワイ、南太平洋をシングルハンドで航海した。南太平洋で見た美しい夕焼けは、一生忘れることができないと思うほど素晴らしかった。長距離航海に興味を持つ人からよく質問されることに対する回答をまとめたが、特に「どんな準備をしましたか」について詳しく説明をした。



(5)南極報告                       東野伸一郎(九州大学)

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 南極で無人飛行機を飛ばして地磁気探査を行うプロジェクトに参加し、一昨年と昨年の冬(南極の夏)の2回、南極を訪れた。持ち込んだ機体は自ら設計したもので、全備重量が30kgと9kgの2機である。風が強い日が続いてなかなか飛行のチャンスがなかったが、何とか半日飛行することができ、貴重な地磁気データを取得することができた。今年の冬も実施予定であり、明日「しらせ」に搭載貨物の確認に行く予定である。



(6)Green heart Project                  Patrick Utley
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 開発途上国の海上貨物輸送を容易に行う、帆船貨物船の提案を行う。帆走を主とするが、マストは貨物の揚げ降ろしに使うデリックを利用して、起倒式のものとする。また太陽電池とバッテリーを搭載して補助エンジンを駆動する。またこの電力はデリックの運用にも使用する。開発途上国では港湾設備が十分でないので、例えば砂浜へ直接乗り上げて自前のデリックで貨物を揚げ降ろしし、満潮時に離岸して帆走で航海するものにしたい。





6.懇親会

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 講演会終了後、一階食堂で皆様ご持参の酒肴を交えて懇親会を行わせて頂きました。古き良き時代を感じながらアットホームな雰囲気の中で新旧座長を囲み,親睦を深めました。海岸での2次会,さらには再び寮に戻っての 3次会も盛り上がったようです.
木下先生ならびに関東地区幹事の皆様には準備に大変お世話になりました。また、会場準備をお手伝い頂きました 皆様に厚く御礼申し上げます。


7.次回予定

   日時:未定
   場所:未定
      (詳細が決まり次第、ご連絡いたします)



(文責:増山・東野)
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