第42回セーリングヨット研究会議事録


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1.日 時:2011年 10月 15日(土)

        11:00〜17:00 研究会
        17:30〜19:30 懇親会


2.場 所:

        研究会 - 夢の島マリーナ 2F会議室
        懇親会 - 同上


3.出席者:(敬称略,順不同)

安部光弘、市川昌幸、犬飼泰彦、今北文夫、岩嵜正城、楳田壽雄、大野康一郎、木下 健、 国枝佳明、久保田秀明、桜井 晃、沢地 繁、鈴木和夫、諏訪吉昭、高橋太郎、谷 信男、 谷部 進、寺尾 裕、戸嶋俊之、林賢之輔、東野伸一郎、堀内浩太郎、前田輝夫、牧野久実、増山 豊、松井亨介、丸尾 孟、茂木雅洋、横井達郎、芳村康男
新入会員:大野信博
オブザーバー:近藤嵩史(学生)
懇親会のみ参加:鵜沢 潔  計33名

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4.会員近況報告

今回も楳田壽雄様のお世話で、夢の島マリーナの会議室で開催させて頂きました。東日本大震災に罹災された皆様の状況や電力事情などを勘案して、第41回以来ほぼ10ヶ月ぶりの開催でしたが、いつものようにマリーナに面した美しい会議室にて、講演会ならびに懇親会を行わせて頂きました。楳田様いつもお世話頂きありがとうございます。 出席人数は33名で、開会に先立ち、東日本大震災の犠牲者に対し黙祷を捧げました。大震災の影響は夢の島マリーナにも、クレーンの傾きや地盤の液状化などの形で爪痕を残したとのことです。また、皆様の近況紹介でも、大震災に関連したお話が多く聞かれました。


5. 議事
(1)津波防災カプセル
                                                    寺尾 裕(東海大学)      

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 東海地方は、近い将来、東日本大震災の際の津波と同程度かそれ以上の津波に襲われる可能性が高い。特に東海大学清水キャンパスはすぐ海に面しているとともに、近くに避難できる高台もない。このような状況において、どのように人命を守ることができるかを考えて、防災カプセルを構想した。このようなカプセルに要求される項目は、低コスト、早く生産できる(どこでも既存技術で製作できる)、避難設備としての性能が高い(十分な強度、防火、耐久性)といった点である。このような条件を満たすものとして、コンクリート製のカプセルの製作を提案したい。コンクリート製のカルバート(暗渠)やヒューム管は土木工事に多用されており、そのまま転用できるものもあると考えられる。ここでは、一例として20人収容できる直径3m程度のものを提案したい。今後模型と水槽を製作し、実験を行っていく予定である。  いつ起こるかわからない災害に対する備えで、かなり大きいものを維持しながら保存するのは大変ではないかといった質問があり、スイスの核シェルターでは夏休みなどに青年のトレーニングに活用されている例が紹介された。

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(2)開繊技術とその可能性
                               茂木雅洋(アイ・ティー・オー・ヨットセールズ)

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 開繊技術は、繊維の束をほぐして横に並べ、薄いシート状にする技術である。例えばダイニーマ繊維の場合、1本の束は直径10μの単繊維が1560本で構成されている。このため、これを開繊して横に一列に並べると1本の糸が幅15.6mmのシート状になる。これをフィルムでカバーすると高強度薄層粘着テープなどの材料として使うことができる。現在、このような技術は確立されておらず、装置を手作りして試行錯誤しながら取り組んでいる。これまでのところ、ダイニーマ繊維を幅11mm程度のシートにするところまでできるようになっているが、単繊維の“より”や“からみ”を防いで、効率よく開繊する方法を模索中である。この技術が確立すれば、セールの補強用のテープとして用いたり、3Dセールのコア技術として使っていきたい。

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(3)15フィートテンダー(足舟)の自作
                                        高橋太郎

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 全長15フィートのテンダーを、2009年9月から数ヶ月をかけて自作したので紹介した。通常のFRPを用い、一部にPVCコアを使用してサンドイッチ構造としている。合板で簡易メス型を製作し、これに積層する方法で建造した。なお、設計には安価な船舶設計ソフトウェア(ProSurf、約400ドル)と、AutoCad LTを用いた。船型はカタマランで、全長4.5mであったため船検が必要であった。このためヒール試験などを行ったが、その結果定員7名となった。5馬力の船外機を用いて約5.5ノットで走り、帆走も可能である。なお、このテンダーは、次の建造プロジェクトである、全長14.95m、総トン数20トンのLive-Abroadカタマランの足舟として使う予定で、その図面にすでに記載済みである。

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(4)船底防汚塗料平板摩擦抵抗試験の長期実施結果概要
                                   鈴木 和夫(横浜国立大学)

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 加水分解作用による自己研磨型船底防汚塗料の摩擦抵抗を調べる ために、回流水槽を用いて長期の抵抗試験を行った。長さ1.7m、吃水0.5m、厚さ5mmのアルミ平板に塗料を塗布し、5月から8月にかけて1日5時間、流速1.2 m/s までの範囲で実験し、抵抗値を測定した。アルミ板は2枚用意し、種類の違う塗料を塗布して流れに平行に設置し、抵抗値を同時に測定して比較した。その結果、ほぼRe=2×10^6 以上の範囲で、平滑度の高い新しい塗料の抵抗値がやや低くなることが確認された。また、粗度影響を考慮したCFDの結果とも比較したが、計算値はやや低く出ており、今後のCFDのバリデーション用のデータとしても活用したい。
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 なお本講演時に、3月11日 の東日本大震災の際に、横浜国立大学の曳航水槽において地震の揺れで発生したスロッシングの様子を撮影した動画が紹介された。曳航水槽の水が幅方向に大きく揺れ、水槽のレールを越えて水が飛び出す様子が映し出され、皆さん固唾を呑んで見守りました。幸い、建屋に多少の損傷はあったものの、レールが移動するなどの大きな被害はなかったとのことです。大阪大学 戸田教授の下記研究室サーバーに映像がアップされていますので、ご覧ください。 リンクから映像を見ることができない場合は,以下のURLを直接コピー&ペーストしてご覧ください.
http://www.naoe.eng.osaka-u.ac.jp/~toda/ynu/00005.wmv

また、鈴木先生が最近刊行された「SFアニメで学ぶ船と海」(成山堂書店)のご紹介も頂きました。船や海に関する内容が、多くの図やアニメを取り入れて分かりやすく解説されており、船や海のファン(の特に若い人達)を増やしたいという熱意が込められています。皆様もぜひご一読下さい。

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(5)減揺と波浪推進の試み
                                ○芳村康男(北海道大学)、金本真美子(北海道大学)

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 船舶にフィンを取り付けて、ピッチングの減揺と波エネルギーを推進エネルギーに変換することを試みた。強制的にピッチングさせる加振装置を製作して平水中で模型試験を行った結果、フィン無しでは徐々に後退していくことが確認された。これに対してフィンを取り付けて固定した場合、低速ではあるが前進することがわかった。さらにフィンをアクティブに制御すると前進速度が大きくなり、船体動揺が大きいほど早くなることが確認できた。  一方、波浪中の実験では残念ながらフィンの効果はあまり見られず、全てのケースで船は後方に流された。この原因は船体に作用する波漂流力が大きいためと考えられる。波漂流力は波高や角周波数に依存し、この程度のフィンではこの力を超えるほどの推力を発生させることができなかったためと考えられる。しかしながら、減揺を第一に考えてきたフィンが、推進性能面にマイナスではなくプラスになることがわかったことから、アンチピッチングフィンの実用性に期待するものである。

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(6)470級のセール風洞試験について
                                                増山 豊(金沢工業大学)
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 第41回研究会において報告した、スピネカーとメインセールを用いた風洞試験結果速報の続報である。セール模型は、470級の1/6スケールのものを、ノースセールジャパンにおいて製作頂いた。セール模型に作用する流体力とセール形状を同時計測し、セール形状を入力してCFD計算を行って実測値と比較を行った。セール形状はSolidFromPhoto と呼ばれるフリーソフトを用いて、写真データから3次元座標を取得した。このデータをもとに鹿取正信氏作成のAdvanced Aero Flow (AAF) を用いてメッシュを自動生成しCFD計算を行った。なお、AAFのCFD計算のソルバーには田原裕介先生が開発されたFLOWPACKが用いられている。前回の報告では、計算結果と流体力の実測値が非常によく一致していることを示した。  本報告では、さらにセール周りの流れを可視化してCFDによる結果と比較し、検討を行った。セール表面の流れはタフトを用いて可視化するとともに、セール近傍の流場計測はスモークワイヤ法による煙を用いて可視化した。この結果、CFDによって得られた流線は可視化結果を非常によく表していることがわかり、CFD手法が適切であることが示された。

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なお、東野先生から、南極での無人飛行機観測の際の写真を紹介したいというお申し出がありましたが、座長(増山)が、講演時間の不足とあいまって失念してしまい、ご講演頂く機会を失ってしまいました。大変申し訳ありませんでした。東野先生は、11月に再度南極へお越しになるとのことですので、次回研究会にて2回分のご紹介をお願いしたいと考えております。東野先生、お気をつけて行ってきて下さい。


6.懇親会

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 講演会終了後、同会議室にて夜のマリーナを望みながら、皆様ご持参の酒肴を交えて懇親会を行わせて頂きました。マリーナレストランからの仕出しもあり、アットホームな雰囲気の中で親睦を深めました。楳田様、今北様ならびに関東地区幹事の皆様には準備に大変お世話になりました。また、会場準備にお手伝い頂きました皆様に厚く御礼申し上げます。


7.次回予定

   日時:2012年3月もしくは4月ごろ
   場所:関東地区
      (詳細が決まり次第、ご連絡いたします)



(文責:増山)
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