第41回セーリングヨット研究会議事録


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1.日 時:2010年 12月 4日(土)

        13:00〜17:00 研究会
        18:00〜20:00 懇親会


2.場 所:

        研究会 - 創価大学 本部棟(M棟)M-402教室
        懇親会 - 海苑(TEL 0120-489-475)


3.出席者:(敬称略,順不同)

安部光弘、阿部真二郎、今北文夫、楳田壽雄、大橋且典、国枝佳明、久保田秀明、小暮欣也、 小林 寛、高石敬史、谷 信男、田原裕介、寺尾 裕、戸嶋俊之、西川達雄、林 賢之輔、 東野伸一郎、前田輝夫、増山 豊、松井亨介、丸尾 孟、村尾麟一
新入会員:能登敬一(スバル興業)、小泉勇祐(スバル興業)
オブザーバー:遠藤卓男(ウオーターセーフティニッポン)、 伊本俊明(創価大学)、戸田龍樹(創価大学)、久保田研究室ゼミ生11名 計38名

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4.会員近況報告

 今回は、久保田秀明先生のお世話で、創価大学の素晴らしい会場で開催させて頂きました。 久保田先生より歓迎のご挨拶を頂くとともに、新入会員の能登敬一様、小泉勇祐様、 ならびにオブザーバー参加の遠藤卓男様、伊本俊明様をはじめ、参加者全員からの 近況報告を頂きました。特に、東野様から南極の磁場探索のための無人航空機による 実験のために、12月末から2月にかけて南極へ出張する予定であることが報告されました。 また、小林様から来年3月から1年間、イタリアのローマ水槽へ留学する旨の報告がありました。 ご両名とも無事に帰国されることをお祈りいたします。


5. 議事
(1)久保田先生からのご挨拶         

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 素晴らしい会場をご準備頂いた久保田先生よりご挨拶を頂き、創価大学で研究会が開催 されることについて歓迎の言葉を頂きました。特に、この12月1日に創価学会の池田大作名誉会長に 中国の大連海事大学から名誉教授の称号が授与されたことが紹介され、 これもセーリングヨット研究会という海に関係する研究会が開催されることと何らかのつながりが あるのではないかとのことでした。研究会の準備には久保田研究室のゼミ生11名の皆さんにかいがいしく お手伝い頂きましたが、8割が女性であり、研究会の雰囲気が一気に華やかになりました。 なお、久保田研究室は学科内で最も人気のあるゼミとのことです。





(2)SY研シンポジウム結果報告、ならびに反省点など
                              シンポジウム準備委員会  増山豊、小林寛、西川達雄他

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 まず、増山座長から以下のような概要報告があった。
 セーリングヨット研究会主催の「セーリングヨットと帆走性能」シンポジウムは、平成22年8月28日(土)に 東京大学山上会館において開催され、全国から107名の参加者を迎えて無事終了することができた。 開催にあたり協力頂いた関係各位、特にシンポジウム実行委員会相談役、準備委員、 研究会幹事各位に謝意を表したい。
 本シンポジウムの大きな目的は、我が国のヨット研究の現状をまとめて講演頂くとともに、 その知識を将来へつなげるためのテキストを作成するところにあったと考えている。 執筆頂いた皆様にはこの趣旨をご理解頂き、我が国始まって以来のセーリングヨットに関する まとまったテキストを完成させることができた。このテキストは、これからヨット研究を始めようとする人や、 セーリングに理論的なアプローチをしたいと考えている人、そして船舶の動力源として風力の 利用を考えている人達の絶好の教科書・参考書になるものと考えている。 一方、このような内容を盛り込んだプログラムだったため盛り沢山となり、 講演時間が十分とはいえないなどの反省点も多くあったものと考えられるので、 会員各位からの意見をお伺いしたい。
 次いで、午前の部の司会を担当した小林幹事より、講演時間が限られているため 質問時間の調整に苦労したことなどの感想があった。また、写真も多数撮影頂き パワーポイントで迫力ある画像を見せて頂いた。
 受付を担当頂いた西川幹事からは、参加者の概要について説明があり、 参加者107名の内、会員と会員以外がほぼ半々であったこと、総額70万円ほどの お金を扱ったので緊張したことなどが報告された。なお、会計報告としては、 当初20万円近くの赤字を覚悟していたが、参加者が100名を超えたことや諸経費を 抑えることができたため、当日の締めで約9万円の赤字で収まり、 さらに後日のテキスト販売によって、現在の赤字は4万円以内に収まっていることが報告された。 会場からは次のような意見があった。
  • 参加者の感想や意見を聞くためのアンケート調査をするべきであった
  • ポスターセッションの時間が短くごく一部のポスターしか見ることができなかった
  • 準備した側として、「これは古い」と思った。自己満足に終わっていなければよいが
  • ヨット文化として高めていくべきでは
 今後、メールなどでも大いに反省点や改良点を指摘して頂ければ幸いです。

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(3)生命と安全を考える、セーリング教育導入の試み
       〜リスク認知と陸上における準備講習について〜     久保田秀明(創価大学)

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 予測困難な未来に向かって、「生きる力」をよりよく育むために、セーリングのもつ可能性に注目している。 セーリングは、学習教材として他では代え難い豊かな特性をもっているからである。 例えば、学習環境の不確定な要素から求められる判断力と行動力。達成課題の複雑さから求められる 他者と協同する力と創意工夫。そして自然との心地よい一体感と強い達成感を感じる経験などがあげられる。 セーリングは人を自立させ、勇敢にするに違いない。
 調査の結果、日本の大学生のセーリング経験は、諸外国に比べて極端に少ないことが 明らかになった。先進国と呼ばれる国々の中で、我が国のセーリング普及率は最低水準であることが推察される。 この様な環境下でセーリング実習を教育に取り入れるには、リスクへの対応方法とセーリングの教育効果を 具体的に示す必要がある。
 リスクは課題や環境に固有のものではなく、それらに潜在するリスクと、実践者のリスクに対する認知・ 対応能力との関係によって決まる相対的な存在であるといえる。 そこで、海上での安全確保に必要とされる基本的な技能について、陸上で疑似体験する準備講習を考案し、 リスクに対する認知と対応のトレーニングを行った。この準備講習は、授業者の語りに依存する部分が 多くリアリティに乏しいものであった。 しかし、受講者からは、「初めて知ることばかりの新鮮な授業だった」「命の大切さを感じた」 「海上では何十倍も難しいと思うが、事前に陸上で経験できてよかった」 等の感想が寄せられた。
 その後、海上のセーリング実習を行ったところ、陸上での準備講習を行わなかったときに比べて 参加者の学習意欲が向上し、主体的に学ぶ姿勢が顕著に見られた。 また学習の成果に対し、参加者が強い達成感を示す場面がしばしば見られた。 さらに参加者は、セーリング中に自身の判断力や行動力が試された経験を振り返って、 実習で直面する課題を解決するだけでなく、その取り組みの中で「本当の自分らしさ」や 「自分のあり方」等、自分自身について深く思索することも多かったと所感を述べている。
 教育の効果については上述のとおりであるが、可能な限りすべての学習者に望ましい学習成果を 得させるために、本件で報告した陸上の準備講習は、その方途を探る一つのテストケースになるものと思われる。 今後は、セーリングの教育効果を定量的に測定・分析する研究手法を開発することが望まれる。
(以下、増山からのコメント)
 久保田先生のご発表後、この講習を受けたゼミ生の皆さんの感想や意見を伺ったが、皆さん実に的確に 久保田先生の狙いを把握しておられた。まったく船のことを知らない学生さんが、 講習によって成長していく様子を写真で紹介頂くとともに、目の前でその学生さん達が 生き生きと意見を述べておられることに感動しました。

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(4)ウォーターセーフティー ニッポンの設立と活動について 〜水の事故ゼロを目指して〜
            遠藤 卓男(ウォーターセーフティー ニッポン(水の事故ゼロ運動推進協議会)) 

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 2010年3月24日に、日本財団、B&G財団、日本セーリング連盟など海洋関係7団体により「水の事故ゼロ運動」 を推進するための協同組織として設立された「ウォーターセーフティー ニッポン(Water Safety Nippon = 水の事故ゼロ運動推進協議会)」 の設立趣意や活動、そしてこの運動の賛同者であるパートナー(行政、団体、企業、マスコミなど)、サポーター (個人・団体)を募集・登録していることについて説明した。
 また「水の事故ゼロ運動」とは、行政・団体・企業・マスコミ・ボランティア・個人など様々な団体等が協力し、 子どもたちの健全な成長に欠かせない「自然体験活動」の機会を提供し道徳観や正義感を育むとともに、 「水の安全教育」の実践や啓発により、自分の命は自分で守る“自助意識”を養うための知識と技術を身につけさせ、 日本の“水の事故ゼロ”を目指す国民運動であることを説明した。
 研究会のメンバーの皆様は、ヨットの流体力学や構造、デザイナー等、あるいは大型帆船の搭乗員など、ヨットに 係わるあらゆることの専門家です。そのため全国で講演する機会や大学での講義などいろいろな場所で話しをする先生方になります。 そのような先生方に「ウォーターセーフティー ニッポン(WSN)」や「水の事故ゼロ運動」について、ご理解いただけたことが 第一の成果と思っております。
今後、ご参加された先生方がいろいろな機会に本運動についてお話いただいたり、何かあればWSN事務局にお問い合わせいただく ことがあれば、この運動が大きく広がることにつながると考えております。 今回、「WSN」や「水の事故ゼロ運動」について説明の機会を与えていただきました、 増山先生そしてメンバーの皆様に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

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(5)高周波振動推進について                寺尾 裕(東海大学)

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 ごく波長が短い波は表面張力波となり、粘性の影響が支配的になります。一方海洋波は重力の作用により波が形作られ、 長い波長が特長の波になります。海洋波の利用はいろいろ研究され、推進に利用することも行われていますが、波長の短い、 表面張力波を推進に使う研究は、あまりないようです。
 今回は、高周波で振動する振動モータを用いた波を作る簡単な推進装置を用い2通りの実験をして、どちらも浮体の推進が 可能となることを証明しました。1つは表面張力波を造波して推進する方法、もう1つはヒレを振動させ、ヒレに沿う強い流れを 造り出す方法です。後者の流れは音響流として知られる、振動により強い流れを発生させる現象で、こちらの方法が浮体を早く 進ませらられるという可能性が見えてきました。

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(6)470級セール風洞試験結果速報             増山 豊(金沢工業大学)
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 第38回研究会において報告した、スピネカーとメインセールを用いた風洞試験結果速報の続報である。 セール模型は、470級の1/6スケールのものを、ノースセールジャパンにおいて製作頂いた。 セール模型に作用する流体力とセール形状を同時計測し、セール形状を入力してCFD 計算を行って実測値と比較を行った。 セール形状はSolidFromPhoto と呼ばれるフリーソフトを用いて、写真データから3次元座標を取得した。 このデータをもとに鹿取正信氏作成のAdvanced Aero Flow (AAF) を用いてメッシュを自動生成しCFD計算を行った。 なお、AAFのCFD計算のソルバーには田原裕介先生が開発されたFLOWPACKが用いられている。 計算結果と流体力の実測値は非常によく一致しており、今後さらにスピネカー形状とセール性能の データベース化を進めていきたい。

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6.懇親会

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 講演会終了後、八王子駅近くの「海苑」へ移動し、盛大に懇親会を開催いたしました。 久保田先生のご手配のもと、盛りだくさんで美味しい中華料理を堪能させて頂きました。 久保田先生のゼミ生の皆さんも参加頂き会場が大いに華やぐとともに、その中でしっかりと 会員各位にインタビューをしてメモを取るゼミ生の姿勢に、大いに感銘を受けました。 久保田研究室の皆さん、大変ありがとうございました。


7.次回予定

   日時:未定
   場所:



(文責:増山)
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