第37回セーリングヨット研究会議事録


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1.日 時:2009年 7月 4日(土)

        13:00〜17:30 研究会
        18:30〜20:30 懇親会


2.場 所:

        研究会 - 「日本丸メモリアルパーク」訓練センター教室(Tel: 045-221-0280)
        懇親会 - ナビオス横浜(Tel: 045-633-6000)


3.出席者:(敬称略,順不同)

安部光弘、雨宮伊作、伊藤 翔、今北文夫、鵜沢 潔、楳田壽雄、梅田直哉、柿添光治、 鹿取正信、金井紀彦、木下 健、久保田秀明、小林 寛、沢地 繁、高石敬史、高橋太郎、 谷 信男、田原裕介、戸嶋俊之、永海義博、西川達雄、東野伸一郎、深澤塔一、藤井 茂、 前田輝夫、増山 豊、松井亨介、松尾 宏平、丸尾 孟、茂木雅洋、矢島 博、横井達郎
新入会員:大内一之、倉谷泰成、牧野久美、安川宏紀
オブザーバー: 岡野良成(航海訓練所)、西村 健(広島大学大学院)
計38名

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4.会員近況報告

 前回の富山の“初代海王丸”のもとでの開催を受け、今回は横浜の“初代日本丸”のもとでの開催となりました。 「日本丸メモリアルパーク」は航海訓練所の所轄にあり、開催に当って雨宮船長に大変お世話になりました。 また、航海訓練所理事長の岡野良成様にもオブザーバーとしてご参加の上、ご支援頂きました。 このような素晴らしい環境の下でセーリングヨット研究会を開催できることを、大変うれしくかつ誇りに思ったところですが、 “航海訓練に帆船教育は時代遅れで必要ないのではないか”との声に揺れているという雨宮船長の報告に悄然となりました。 大型帆船が単に子供達の憧れの的になるといった漠然としたものではなく、“帆船による訓練の定量的な効果”を 示さなければならないとのこと。セーリングを教育の手段として活用できないかと取り組んでいる会員も複数名おられるので、 何らかの「定量的」なものを提示することはできないかと考えている次第です。 その一方で、アメリカ出向中の永海さんが帰国時期と重なるようにタイミングを合わせて頂き、久し振りに顔を見せて頂くとともに、 現在のアメリカの内陸ボーティング事情についてお話を聞かせて頂くことができました。内容は下記講演要旨をご覧ください。


5. 議事
(1)会社紹介とアメリカ内陸のボーティング事情について    永海義博(ヤマハUSA) 

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出向先のTWI(Tennessee Watercraft Inc.)社の概要と、アメリカ内陸部のボーティング事情について紹介した。 TWI社は1995年にテネシー州のボートメーカーをヤマハが買収して、ヤマハのモーターボートを現地生産するようになった会社である。 主に17ftから25ftのモーターボートを生産しており、主力はウオータージェット推進艇で年間3000隻程度出荷している。 さすがにサブプライムローン問題による景気低迷のため2009年度はやや低迷しているが、 遊べる人は一生懸命遊んでいるという雰囲気が印象的である。 テネシー州内では、ミシシッピ河の支流やダム湖でボーティングを楽しんでいるが、完全に平水であり、揺れるということがない。 揺れない船を造るという発想とは別に、揺れない所で乗るという選択肢もあることに気がついた。

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(2)スター級、スナイプ級などで行った2ボートテストの結果報告   鹿取正信(ACT)

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 スター級やスナイプ級で2ボートテストを行うとともに、セール形状を計測した。風向風速データはチェースボートで測定しており、 2ボートのGPSデータや、セール形状データはWi-Fi でチェースボートへ無線送信し、パソコンに取り込んだ。 セール形状は、マストトップに軽量の撮影ユニットを取付けて上から撮影したものと、下から撮影したものを用いて3D座標データを作成し、 これを用いてCFD計算を行った。マストトップの撮影ユニットには広角レンズを用いたため、レンズ修正が必要であった。 CFD計算によるセール性能の優劣と、2ボートテストのGPSデータによる優劣は一致しており、明確な違いを示すことができた。

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(3)OP級ヨットの実海域運動計測
○西村 健、松村和昌、平田法隆、田中 進(広島大学)
安川宏紀(広島大学)

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 ジュニアの入門艇として世界的に普及しているOP級ヨットの実船帆走性能を計測した。OP級ヨットは全長2.31mの一人乗りの艇である。 ヨットハーバー内に設けた三角コースを9周して、クローズホールド、ランニング、アビームの3状態について艇速と船体姿勢パラメータを 測定した。針路、速度、斜航角、ヒール角、トリム角は3個のGPSレシーバーを艇体に取付けて計測した。 風向風速はマストトップに取り付けた超音波式のセンサーを用いるとともに、セール開き角と舵角はCCDカメラを用いて測定した。 操縦者による帆走性能の違いを見るために2人のスキッパーが交代で乗艇し、各種のセールトリムや船体姿勢のもとで帆走して、 船速と真風速の関係などを調べた。

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(4)輸送船へのセーリング利用について       大内一之、鵜沢 潔(東京大学)

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 帆主機従型大型風力推進船の研究開発プロジェクト(ウインドチャレンジャー)について報告した。 燃料消費量を従来型商船の1/3に減らすことを目標として、帆主機従型の大型帆走商船の設計及び運行方法について研究開発している。 帆はマストを用いない外皮だけのハードセールであり、複合材を用いた大面積高揚力硬帆である。 1枚あたり、高さ50m、幅20mのものとするが、スライド式に縮帆できるようにすることによって、耐風性や、 荷役時の取り扱い易さを高めることができる。さらに、これによって人力に頼らないオートマチックな操帆が可能になる。 L=300m、B=50m、DW=180,000t、帆面積9000m2の船で、ハワイ貿易風海域における実航海シミュレーションを行った結果、 艇速14ノット時で、平均63%、16ノット時で平均51%の省エネ率となることがわかった。 今後、硬帆の試作機を製作して性能試験を行うとともに、船体の概念設計を進めて実現させていきたい。

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(5)Excelソルバーを用いないVPPの紹介         増山 豊(金沢工業大学)

 第33回セーリングヨット研究会において“Excelを用いた定常帆走性能の推定計算(VPP)”を報告した。 この報告におけるVPP計算の手段として、Microsoft Excelに組み込まれているソルバー機能を用いた。 これによって面倒なプログラミングをしなくても、手軽にVPP計算を行うことが可能であった。 しかしながら、Excel2007のバージョンになって、ソルバーの格納フォルダー名が変化するなどしたため、 円滑な使用ができなくなった。今後、さらなるバージョンアップ(?)などによってまた使い勝手が変わるのも困ると思い、 この際原点に帰ってソルバーを用いずに全てプログラミングによってVPP計算するものに改めることにした。 VPPは基本的に非線形の連立方程式を解くプログラムであり、この解法としてニュートン・ラプソン法を用いた。 このようなプログラミングは、かってVPP解析を始めた頃にFortranやBasicで用いたものであり、 今回、Excel VBAに用いるために、古びたBasicのテキストをあらためて引っ張り出してきたという次第である。 前報告の内容に比べてVPP計算を全プログラム化しただけで、船体データやセール流体力係数は同じものを使っているので、 当然計算結果にほとんど変化はない。しかしながら、以前はこれらのデータを多項式近似して求めていたのに対し、 今回はスプライン補間して求めているので、多少の違いが見られる。このようにすることによって、 船体抵抗やセール流体力係数を変化させたい場合は、Excelシート上の表の値を変えるだけでよいので、 より汎用性が高まったものと考えている。

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6.懇親会

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 講演会終了後、初代日本丸前にて全員写真を撮影した後、徒歩にて「ナビオス横浜」へ移動し、盛大に懇親会を開催いたしました。 「ナビオス横浜」は船員の福利厚生施設の一環として運営されているとのことですが、 その立派なたたずまいにこの懇親会費でいけるのだろうかとヒヤリとしましたが、岡野理事長と雨宮船長からさりげなく 「大丈夫です」と仰って頂き、ほっといたしました。正に大船に乗った気分でした。 岡野理事長、雨宮船長、誠にありがとうございました。 なお、来年夏に「セーリングヨットと帆走性能シンポジウム(仮称)」開催の構想が上がっており、 その日程や内容についても話し合われました。


7.次回予定

   日時:12月5日(土)
   場所:鎌倉女子大学



(文責;増山.講演概要は基本的に発表者に記述頂いております.)

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