第32回セーリングヨット研究会議事録


注:Internet Exploreの最新版でご覧ください.(Netscapeでは,図が過大表示されます.)

1.日 時:2007年 8月 4日(土)

        11:00〜 会員近況報告
        13:00〜 研究会
        18:00〜 懇親会


2.場 所:

        研究会 - 夢の島マリーナ2F会議室
        懇親会 -      〃


3.出席者:(敬称略、順不同)

安部光弘、市川昌幸、岩嵜正城、上野道雄、楳田壽雄、大野康一郎、大橋且典、鹿取正信、木下 健、小暮欣也、小林 寛、添畑 薫、高石敬史、高橋太郎、谷 信男、寺尾 裕、永海義博、西川達雄、林賢之輔、藤井 茂、堀内浩太郎、増山 豊、松井亨介、丸尾 孟、茂木雅洋、森 純男、山口眞裕、横井達郎、芳村康男
【新入会者】 阿部真二郎、二瓶泰範、武富(以上、32名)

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 【皆さんの写真,研究会の様子はこちら】

4.会員近況報告

 今回は話題があまり多くなかったので、皆さんに特に「短かめに」とお願いしなかったこともあり、皆さんたっぷりと近況報告を頂き、午前の部で半分の方までしか終わりませんでした。しかしながら、皆さん全員に発言頂くというのが当研究会の大切な趣旨であるとともに、現在のヨット界や我々を取り巻く環境の生の声を聞くことのできる貴重な時間と考えておりますので、皆様にたっぷりとお話頂きました。

5. 議事 (1)【最近の舟艇(ボート、ヨット)業界の状況(主として統計データ) 永海義博

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 日本の舟艇業界は 1990年前後バブル崩壊以後縮小が続いていたが、ここ2-3年は景気の回復による富裕層の購入、および元気な団塊の世代のマリン回帰により 底打ち感がでてきた。セールボートについては 1980年代には ディンギーを含めて5000隻以上建造されていた時期があったが、その後は年間新造隻数は200隻代にまで縮小した。しかし、セールボートについてもここ3年 新造艇が増えてきている。マリンファンを増やす施策は、官民業界で、取り組んでいる。

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(2)小型外洋セーリングヨットのローリング特性に関する実験結果   増山 豊

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 第30回の研究会で速報として報告した、YAMAHA21Sのローリング試験結果の続報。実船と模型船を用いたローリング試験から、船体ならびにセールの付加慣性モーメントを求め、これをもとにシミュレーションを行った。その結果、シミュレーションは実測値をよく表しており、運動方程式が適切であることが分かった。さらにこれらの値を用いてタッキングシミュレーションを行い、実船海上試験結果と比較検討した。シミュレーション結果はタッキング時の船体運動の様子をよく表しており、このような艇の運動解析に有効であることが分かった。

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(3)帆走時大斜航・旋回時の流体力モデル              芳村康男

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 大型帆船のタッキングや漁船などで帆を付けた時の漂流運動などを計算する場合は、前進速度が小さく、帆や船の風圧力によって、前進・横流れ・回頭の三つの運動が同じオーダーとなり、流体力の取扱いが前進速度の大きい場合とは大幅に異なって複雑になる。ここでは前進速度の大きい通常の帆走状態からタッキングなどに至る運動を、同一の数式で表現可能な主船体流体力の数学モデルを検討する。従来の揚力主体の流体力をベースに cross-flow モデルを若干変更した流体力を加算する形で、X, Y, N に関する計算式を提案した。この計算式はパラメータが少ないにもかかわらず、広範な横流れや回頭運動に対して主船体流体力を表現できる可能性があることがわかった。(文責:増山)

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(4)アメリカズカップ ’07 報告(1)                高橋太郎

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 バレンシアで行われた第32回アメリカズカップにマスカルゾーネ・ラティノ・カピタリア チームの設計チームメンバーとして参加した経験を、紹介しました。 今回のアメリカズカップでは設計者の国籍・居住の要件が取り除かれ、結果的にレースの1年前という遅いタイミングでの参加が可能であったこと、国籍・居住がフリーとなったため、設計グループが、世界的な分業体制となっていること、現場で、日々の設計に関する広範なコンサルタントが出来る設計者が現場に居なくなり、長年、アメリカズカップにかかわっていた経験が重宝されました。  設計チームの中でのリスクとメリットに対する考え方が非常にはっきりしており、メリットが認められる場合、その結果のリスクについて「出来る限りの」検討を行った後はそのまま実行することとし、「その他の心配事」には正当な理由が無い場合は考慮しないというはっきりした暗黙の申し合わせがあるようでした。それまでの「チョッと余裕」を持つ設計に比べ、メリット最優先の設計姿勢には「カルチャーの違い」を感じました。  カップそのものはヨーロッパで開催された最初のアメリカズカップで多くの観客がバレンシアに来て、経済効果が有りそうでしたが、一方、今までのアメリカズカップの雰囲気からは離れていっているようでした。

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(5)アメリカズカップ ’07 報告(2)                鹿取正信


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 高橋さんの発表の後、Emirates Team New Zealandチームで活躍した鹿取さんにたっぷりとお話を頂きました。同チームは、ルイビュトンカップで優勝し、第32回アメリカズカップで、スイスのAlinghiチームに惜敗しましたが、鹿取さんは日本人として初めて、アメリカズカップ本戦に直接関わった人物になりました。鹿取さんはチームの中で「勝つためにはどうするべきか」を追求するために、“船を如何に速く走らせるか”と“レースマネージメント”の両面を結びつける最もホットなポジションで活躍しました。「これまでの5回のACへの挑戦」が鹿取さん自身の中で実を結び始めているように見受けられ、頼もしい限りでした。鹿取さんが準備されたパワーポイントは、大容量のため、会員専用のホームページにて閲覧できるようにいたします。会員諸兄はぜひとも鹿取さんが準備されたストーリーをご覧下さい。以下にその内のエッセンスのパワーポイントを示します。(文責:増山)

パワーポイントファイル(抜粋,.ppt)はこちら
(4.Winning Race と 5.32nd America's Cupのみリンクがあります)



(6)ヨットデザインスクールの検討              沢地 繁・谷 信男

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日本国内にヨットデザインスクールを設立できないかと検討しており、今回はその中間報告。
1.概要
1)ヨットデザインスクールの目的
- 次代を担うヨットデザイナーを発掘、育成する(プロ)。
- 楽しみとしてのヨット設計を広め、ヨット設計に必要な知識と技術を伝える(アマチュア)。
- 現在までに日本のヨット設計を整理し、集大成する。
2)対象
- プロのヨットデザイナーを目指す人。
- 趣味としてヨット・ボートを設計したい人(主たる対象者となるだろう)。
- ヨットに対する理解を深めたい人、ヨットをより速く、安全に走らせたい人。
3)コース
(1)ヨット設計入門
Part 1:ヨット設計とは
- ヨットデザインとは何か、どういうプロセスか、関連する知識と技術を習得する。
- ヨットに関する基本的な知識も含む。適切な参考書があればそれを利用する。
Part 2:ヨット設計の基礎
- タイプシップをベースに設計し、建造に必要な図面を作成できるようになる。
(2)ヨット設計実務(将来追加)
- 職業ヨットデザイナーとなるための基礎学習で、演習を通じて実践的な設計を行う。
4)学習の方法
- 教材を配布して自習する通信教育でスタート、教材はインターネット経由でファイルを配布。
- メール(+電話)での問い合わせ、掲示板形式の質問箱を提供する。演習・課題を課し、提出物は講師が添削・評価する。
5)受講料
- 教材費+質問回答+課題・演習添削のセット料金とし、アメリカの例を参考に検討中。
2.今後の進め方
- 趣旨に賛同し協力していただける方、アイディア・ご意見を募集している(当日の配布資料よりももう少し細かい資料があり、沢地(sawaji@sawaji.com)/谷まで要求があれば送付)。
- 近いうちに教材内容を決定し、作成に着手したい。
- 開校時期:2008年?



5.懇親会

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 講演会終了後、夢の島マリーナの会議室で引き続き盛大に懇親会を行いました。今回も夢の島マリーナの楳田壽雄さん、市川昌幸さん、大野康一郎さんに会場の予約から設営準備、懇親会の計画・買出し・運営の全ての面に渡ってお世話になりました。林さんと楳田さんには、コーヒーショップ「葉椰子」と「カフェー弩(いしゆみ)」を運営頂き、いい香りを漂わせて頂きました。厚く御礼申し上げます。

番外編:楳田さんのDREAD NOUGHTの写真はこちら


6.次回予定

   日時:11月下旬から12月上旬の土曜日頃
   場所:未定



(文責;増山。なお一部の講演要旨は講演者ご自身に記述いただきました。)

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