第23回セーリングヨット研究会議事録


1.日 時:2003年 7月 12日(土)

        11:00〜17:30 研究会
        17:30〜    懇親会


2.場 所:

        研究会 - 夢の島マリーナ2F会議室
        懇親会 - 夢の島マリーナ2Fオーナーズルーム


3.出席者:(敬称略、順不同)------Nは初参加

安部光弘、新井英行、市川昌幸N、今北文夫、楳田壽雄N、鹿取正信、金井紀彦、木下健、小暮欣也、小林寛、桜井晃、沢地繁、高石敬史、高橋太郎、畳谷龍人、田中拓、田原裕介、辻岡利晃N、寺尾裕、戸嶋俊之、永井潤、永海義博、西川達雄、林賢之輔、東島和幸、東野伸一郎、藤井茂、藤瀬雄輔N、堀内浩太郎、増山豊、松井亨介、丸尾孟、横井達郎、横山一郎----------(以上、34名)
【参加者の写真はこちら】

4.議 事

(0−1)会員近況報告

 前回の研究会は、2002年7月6日に大阪市の「なにわの海の時空館」で開催しましたが、ちょうどその2週間後に野本先生が海の事故で亡くなられ、研究会活動は実質的に喪に服しておりました。その後、仲渡先生までもがご病気で急逝されるという誠に悲しいことにもなりましたが、野本先生の一周忌を前に研究会活動を再開することに致しました。
 一年振りということもあり、市川昌幸さん、楳田壽雄さん、辻岡利晃さん、藤瀬雄輔さんの4名の新入会員を迎えることができました。また、ニュージーランドでのAC2003で活躍してこられた高橋さん、鹿取さんを交えるなど、久し振りに懐かしい顔ぶれがそろい、現在のマリン業界の縮図とも言えるような各位の近況報告を頂きました。また安部さんからは、地元ということで新木場界隈の解説資料を配布いただきまし た。
安部さんの解説資料はこちら

(0−2)野本謙作先生、仲渡道夫先生を偲んで黙祷

 会員近況報告に次いで、2002年7月20日に亡くなられた野本謙作先生と、2003年4月13日に亡くなられた仲渡道夫先生を偲んで、1分間の黙祷を捧げました。


(1)サントリーマーメイドについて     横山 一郎

 堀江謙一氏のサントリーマーメイド号について解説していただきました.



(2)アメリカズカップ2003に参加して(OWチームの中で)     鹿取 正信

 シアトルのOneWorldで活躍された鹿取氏から,ルイヴィトンカップおよびアメリカズカップ2003について,ビデオを見ながらレース全般にわたるお話をしていただきました.
 また,セール解析ソフトAdvanced Sail Analyzer/Proの紹介をしていただきました.
  【プレゼンテーション資料はこちら(InternetExplorerでご覧ください.)】
  【ビデオファイル(ルイヴィトンカップチーム紹介)はこちら(wmv, 25MB)】
  【ビデオファイル(過去のルイヴィトンカップ勝者)はこちら(wmv, 23MB)】
  【ビデオファイル(ルイヴィトンカップ)はこちら(wmv, 49MB)】
  【ビデオファイル(ルイヴィトンカップ)はこちら(wmv, 68MB)】
  【ビデオファイル(アメリカズカップ2003)はこちら(wmv, 53MB)】
  【Advanced Sail Analyzer/Proへのリンクはこちら】


(3)イギリス生活とヨッティング     高橋 太郎

 イギリスGBRで活躍された高橋様から,以下のようなお話を写真と共に紹介していただきました.
  • イギリスが日本と同じ島国で、西洋社会でありながらアメリカとまったく違う、人の調和、根回し、など、日本人の気質に非常に似かよっていたことを発見して驚いたこと。
  • アメリカズカップの発祥地でヨットのメッカであり、以前はイギリスハイテク産業の中心であったイギリス南岸のワイト島とその中心、カウズの紹介。
  • ニッポンチャレンジの阿修羅、韋駄天がイギリスに到着した時の様子の紹介。
  • 毎年1500隻以上が参加するYOYA−Round the Island レースに参加、200隻 ものヨットが10分おきに一時間以上もスタートし続ける壮観さ、グランプリレー サーからファミリーデイセーラーまで参加。
  • アメリカズカップジュビリー(150周年)多くの12MクラスやJクラスが集まってきたこと、ボルボオーシャンレースのスタートで、カウズの海岸通りが老若男女のヨットファンの観戦者でにぎわったこと。
  • 毎週火曜日の夕方6時30分スタートするカウズのローカルレースに参加、8時30分ごろのフィニッシュのあとヨットクラブで参加者、家族ともどもビールと軽食で過ごし、車で5分で帰れる家に11時ごろ帰る生活がすばらしかったこと。去年は年間優勝したこと。
  • 蒸気自動車模型ヨットレース、運河のナローボートについて.
  【すべての写真はこちら】



(4)マンタ(折りたたみセール)のその後     堀内 浩太郎,金井紀彦

 第22回セーリングヨット研究会で、コンセプトボート2002(ボートデザインコンペ)に応募したマンタのお話にちょっと触れましたが、1年経ちますので実物ならびにビデオを見て頂きながらその後の様子を報告致します。
 マンタとはヒールモーメントの発生しないカイトセールの一種で、ワンアクションでこうもり傘のように開いたり畳むことのできる新しいセールです。
 カヌー、カヤックなどの細長い手漕ぎ船のセールとして開発しました。アルミ製で2kg、CF製で約1kgと軽量で気楽に扱えるセールです。

 今年1月、金井さんと共に表彰式のあるロンドンボートショウに行ってみましたが、入賞はしたものの、結局それ以上の賞は取れませんでした。審査員が理解しにくいようなので、表彰式の終わった後、その場で実物のデモンストレーションをした上、テームズ川でセーリングをしてアッピールしてきました。国際特許も申請しましたので、これからは売ることも考えてみたいと思っています。この後、金井さんに実物の扱い方と良く走っているビデオを紹介して頂きます。

【マンタのパンフレットはこちら】
【マンタの構造はこちら】
【帆走中の写真はこちら】
【金井さんによる展開の様子はこちら】



(5)波浪推進について     寺尾 裕

波浪推進装置は、波から直接推力を発生する装置です。
船体部と、水中翼部からなり、波エネルギーを吸収し推力に変換します。
この装置の特徴は、船体の動揺を抑えることと、推進力を得るという二重の効果
が期待できることです。
また、この装置を取り付けると、正面向波でも波に向い自走することができます。

発表は、新しく設計した二翼式の波浪推進器の横波中の性能に関するものです。
今まで、波浪推進装置の前進速度の最高速度度は、正面向波状態で達成されると
考えられてきたのですが、今回は横波状態でそれを上回る実験結果を得ています。

【発表資料はこちら(InternetExplorerでご覧ください.)】



(6)フリーレーキングリグとセルフトリミングセールを用いたヨットの針路安定性     桜井 晃

 セールボートは水面下の力学がグライダーに酷似しており、特にセールが船体に固定されていることによるヨーイングモーメントと、ヒールによるヨーイングモーメントがない場合には、両者は同一の力学系となる。このような条件は、主翼と尾翼から構成され、マストのまわりに自由に回転して迎角に関する安定性を有するセール(self-trimming sail)と、ピッチ方向に弾性自由度を有し、マストにかかる空気力に関してヒール方向とピッチ方向に同じ復元力を発生するマスト(free-raking rig)を装備することにより満足させることができる。筆者はこのようなしかけを装備したセールボートが、グライダーに迎角と経路角に関する安定性を持つことができるのと全く同様に、相対風向に関する針路安定性を持つことができることを、実験的および理論的に示した。
 ただし、このような弾性自由度を有するマストは機構的に実用的とはいえない上に、力学上の理 由から針路安定性に関わる固有周期が数分〜十数分と非常に長いものになるので、実際には波など による擾乱の影響のほうがはるかに大きなものになると考えられる。本研究はいままで数回にわたって本研究会でも経過報告を行い、3月のチェサピークシンポジウムでも発表したものであるが、このような理由で、今回で打ち止めとなる公算が高い。故野本先生、林さんはじめ、本研究会の皆様から貴重な討論をいただいたことを感謝します。
【発表資料はこちら(InternetExplorerでご覧ください.)】
【16th Chesapeake Sailing Yacht Symposium で発表した論文はこちら(pdf,1.7MB)】



(7)「浪華丸」下手回し操縦運動シミュレーションその後     増山 豊

復元菱垣廻船「浪華丸」の下手回し操縦運動シミュレーションについて、今年3月アメリカのアナポリスで開催された、16th Chesapeake Sailing Yacht Symposium で発表した論文(野本先生と桜井先生との共著。)について説明した。なお、このシンポジウムの開催時期がちょうどアメリカのイラク攻撃開始と重なったため、増山は諸般の事情により参加を取りやめた。しかしながら主催者側の配慮により、当方から送付したパワーポイントファイルを用いて論文査読者が代読してくれたため、発表済となったものである。  このシンポジウムには野本先生の知己も多く、シンポジウムの終了時には、送付したパワーポイントファイルの中の野本先生の写真を大写しにして弔意を示したとのことであった。
【16th Chesapeake Sailing Yacht Symposium で発表した論文はこちら(pdf,0.9MB)】



(8)野本先生の沿岸帆船研究のその後     増山 豊

野本先生がライフワークとされていた沿岸帆船研究の内容に関して、これまで分かったことについて説明した。野本先生がまとめていこうとされていた方向がおぼろげに分かった程度で、まだまだ全貌はつかめていない。野本先生がExcelに打ち込まれた1000隻以上の帆船データもあり、これらの整理にご興味のある方にはコピーをお送りしたいので、増山まで連絡を下さい。
【発表資料はこちら】
【野本先生の「伸子帆の起源と普及について」原稿(2002年7月17日22時終了,(pdf,25MB))】



5.懇親会

 講演会終了後、夢の島マリーナのオーナーズルームにおいて盛大に懇親会を行いました。今回は初めての試みとして、各位にご自慢の酒と肴を持参頂く持ち寄り式のパーティーとし、好評でした。なお、このオーナーズルームは同マリーナの会員艇のオーナーがいないと使えないため、同オーナーである新入会の楳田壽雄さんと市川昌幸さんにお世話頂きました。特に楳田さんには、会場の予約から設営準備、懇親会の計画・買出し・運営の全ての面に渡ってお世話になりました。おかげさまで、素晴らしい環境の中で研究会と懇親会を行わせていただくとともに、終了時刻を気にすることなく呑み、語り合うことができました。また、小林さんにはパソコンプロジェクタを、林さんと今北さんにはコーヒーメーカを持参いただき、運営にご協力頂きました。また、今は太平洋上の大橋さんからはスクリーンをお借りしました。皆様に厚く御礼申し上げます。
【写真はこちら】


6.特記事項

 当研究会も発足後10年を経ましたので、運営スタッフの若返りを図ろうということになりました。詳細はあらためてお知らせしたいと思いますが、今後ともよろしくお願い申し上げます。


7.次回予定

   日時:平成15年11月頃の土曜日
   場所:未定


(文責;増山,東野。なお一部の講演要旨は講演者ご自身に記述いただきました。)

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