第21回セーリングヨット研究会議事録

1.日 時:

2002年 2月 9日(土) 11:00〜17:00 (懇親会 17:30〜19:30)

2.場 所:

東京国際ボートショウ会場および東京ファッションタウン(TFT)ビル9F 901研修室

3.出席者:(敬称略、順不同)------sは学生

安部光弘、今北文夫、大橋且典、金井紀彦、木下健、小暮欣也、沢地繁、高石敬史、 田原裕介、寺尾裕、仲渡道夫、永井潤、永海義博、西川達雄、野本謙作、深澤塔一、 堀内浩太郎、増山豊、松井亨介、丸尾孟、三井宏、山口眞裕、横井達郎、横山一郎、 芳村康男、小林寛s(東大院)、林豪s(大阪府大院)、長谷川功(金沢工大OB)、 吉田真s、嶌田祐一s、福永喜直s(以上、金沢工大)
------ 以上31名
(集合写真はこちら)

4.議 事

(0−1)ボートショウ会場における人力ボート、ソーラーボート、シーカヤックな どの解説説明

堀内浩太郎、増山 豊

第41回東京国際ボートショウに、人力ボート世界最高速度記録を持つ「スーパーフェ ニックス」、昨年度のソーラー&人力ボート選手権大会においてスプリントレースで 優勝した「ソーランド」、耐久レースで優勝した「ゴールデンイーグル」、さらにシ ーカヤックの「K-60」が招待展示された。会場においてこれらの艇を見学しながら解 説が行われた。

【堀内さんによる説明の内容】
【増山先生による説明の内容】

(会場の様子や、展示艇の詳細はこちら。)


(0−2)ボートショウ会場におけるディンギー自作講座の解説          

永井 潤

永井氏が「舵」誌に連載している、「10万円で自作できるソルティーボーイ3.5」の 公開講座が会場のイベント広場で行われ、建造の様子や実艇が紹介された。

(会場の様子はこちら。)

【上記の解説説明の後、ボートショウ会場から徒歩約10分の「東京ファッションタウン ビル」へ移動し、午後2時より下記講演があった。】
(講演会場のようすはこちら)


(1)「今、海外の高速船の研究開発は? (FAST2001の国際会議に見る最近の欧州 における船型研究開発の動向)」

丸尾 孟、 山口眞裕(海上技術安全研究所)

イギリスのサザンプトンで、2001年9月に第6回高速海上輸送の国際会議、The 6th Ineternational Conference on FAST SEA TRANSPORTATIONが開催された。送られてきた論文集から最近のヨーロッパにおける船 型の研究開発に著しい特色が現れているので、講演者の一人である丸尾氏が日本造船 学会試験水槽委員会推進性能部会で講演されたものを主体に解説をした。

特色として、第一にこれまで主として取り扱われてきた小型船にかわって数千トンを 越す大型船を対象とする傾向が見られること、第二に速力として従来考えられていな かった40ノット(時速約74Km)から70ノット(時速130Km)の高速の範 囲を対象にしていること、大型船では単胴船だけではなく、双胴船、3胴船、さらに 5胴船までも提案されていることなどである。

この会議には日本からの参加者は少なく、日本に於ける高速船分野における技術はど うだと云われかねないが、この分野における研究開発のこれからの取り組みを強調し 、国内における厳しい経済状況の中で、技術のポテンシャルをあげるよう努力しよう と講演した。(文責、山口)



(2) 練習船「うしお丸」の船体延長の概要と本船の帆装計画  

芳村康男(北大水産学部)

 北海道大学水産学部の漁業調査練習船「うしお丸」を延長増トンすることになった が、これにあわせて省エネ・減揺を目的として帆装を装備するよう検討中である。こ れまで同船は全長33.15m、総トン数128トンであったが、これを39.39m、179トンとす るため、船体中央部付近で切断し、長さ約6.24mの追加船体を挿入した。また復原性 、推進性能を向上させるために、船側にバルジを設けた。主機関などはそのままであ るが、推進性能は悪化しなかった。ただ操縦性能はやや悪くなるので、高揚力型のシ リング舵を採用することにした。

 省エネ・減揺を目的とした帆装は漁船への普及を目標としているので、操船や漁労 作業に邪魔にならないよう船尾にスパンカーのような形で設置するものを考えている 。またこれは、漁労作業時の漂流状態で風に立つ保針性に威力を発揮するものと考え られる。市販の外洋ヨット用の比較的安価なセールやマストを活用し、これをコンピ ュータで自動操帆するシステムを、模型船による試設計と「うしお丸」による実証試 験で確立していきたい。

(「うしお丸」の写真はこちら)



(3)自作ディンギーの設計と製作裏話            

永井 潤(エンドセプト)

 ボートショウ会場で紹介された、ディンギー自作講座の裏話を紹介いただいた。カ ートップにこだわったこと、とにかく10万円以下で、しかも近くのホームセンターで 購入できる材料で製作することにこだわった、といった内容についてお話いただいた。



(4)マルチブロックNS/RaNS法を用いたアメリカ杯レース艇のダウンウインドセー ルの性能評価に関する研究

林 豪(大阪府大大学院・海洋システム工学)

本研究では、特にアメリカ杯レース艇ダウンウインドセール周りの流れの数値計算を 行うことを目的とし、マルチブロックNS/RaNS法を用いたセール設計ツールを構築し た。さらに、様々な帆走状態を想定し、流場や流体力変化を考察することによりセー ルの性能評価を行った。加えて本手法では格子生成の自由度が増す反面、格子の評価 を厳密に行う必要があるため、格子品質の評価法も考案した。

【講演内容はこちら】



(5)ISO標準案「小型舟艇−復原性および浮力の評価と分類−」について 

高石敬史

ISOにおいては,小型船舶の復原性についての国際規格を作るべく,1990年代以来、 第188技術委員会(TC188)のなかにWG22を設置して検討を進めてきた。昨年(2001年) に至ってようやく最終案(FDIS;Final Draft International Standard)がまとまり,現在賛否の投票が行われている。(注1)我が国では日本船 舶標準協会が対応しているが、WG22の技術的検討に際しては,日本小型船舶検査機構 (JCI)のなかに小型船舶の復原性基準検討委員会(1994-1999)を設けて対応した。規格 案は3つのパートに別れているが,ここでは本研究会に関係が深い第2部を中心に ,その概要を紹介した。特に、復原性指標STIX及び復原性消失角などヨットの復原性 にとって重要な規定について、これまでの検討の経緯と比較しながら解説した。

【講演内容はこちら】



(6)浪華丸の下手回し操縦運動シミュレーション(その2)

増山 豊(金沢工大)

 '99年に復元建造され、海上帆走実験を行った菱垣廻船「浪華丸」の下手回しの操 縦運動シミュレーションを行った。サージ、スウェイ、ロール、ヨーの4自由度につ いて運動方程式をたて、実測された舵角変化の時系列データを入力として、ルンゲク ッタ法で船体運動の様子や航跡を求めた。

 前回の研究会で報告した内容では舵力の解析が不十分であったため、船体と舵に作 用する流体力を分けて微係数を求めなおした。その結果、実測値とほほ一致する結果 が得られた。

【講演内容はこちら】





5.懇親会 

 研究会終了後、「東京ファッションタウンビル2F、翠苑(スイエン)」にて懇親 会を行いました。懇親会には、ボートショウ会場でシーカヤック「K-60」の説明を頂 いた金井様と、ソーラーボート「ゴールデンイーグル」の説明にあたった、吉田、嶌 田、福永の3名の金沢工大の学生諸君も同席しました。この懇親会会場も東京地区幹 事の松井さんに見つけていただいたもので大変よい会場でした。

(懇親会風景はこちら)

6. 次回予定

日 時:平成14年7月上旬または下旬の土曜日
場 所:大阪地区

(平成14年3月17日、文責;増山)